魚へんに弱いと書いて鰯

弱いわたしへ弱い君へ

光の仔 光の鳥

なんにもない 砂煙の立ち上がった

30年も続いた戦争で 

なにもかもが なくなって

コンクリートの 割れた 重なって

少し屋根になっているところが

わたしの 住処である

 

どうやら もう 戦いは おわったようだ

不思議と 腹はへらないが

 

彼処の街は 小さいながらも 繁栄したそうだ

光の鳥が 教えてくれた

 

土ぼこりに 皮膚の 脂が吸われ 乾燥して

わたしの皮膚と 土と 風は 溶け合って 

 

あの子は 沢山 学んだだろう

あの子は 愛に包まれ 立ってるだろう

あの子は 吹き荒ぶ荒野に 守る術わからず

あの子は 擦り切れるまで交わっただろう

あの子は 子を殺め

あの子は 親を殺め

あの子は 憎み殺しあって

あの子は 暖かい暖炉 猫と眠っている

あの子は おいしいケーキ

あの子は ごみの中から やっと 少し腹を満たす

あの子は 酩酊の海に沈み

あの子は 高次元へ憧れ

あの子は 眠ったまま 生きている

 

光の仔たち

 

わたしの街は あの辺に

おおきな森があるといいな

 

わたしの街は おおきな森が いいな

 

わたしは そう 光の鳥に言った

 

光の鳥たちが 種を抱えて 飛んでくるさ

 

きみも 種を 蒔くんだ

 

きみ自身が おおきな森に なるように

 

愛の種が たくさん 降るように

 

また 砂煙が立ち上がった

 

その 風に のっかって 光の鳥は 旅立った

 

何処かの 戦争のおわった 光の仔の ところへと